30半ばで台湾留学

広告業界で働きまくって12年。日本を飛び出したい想いが抑えきれず、30代半ばでまさかの休職→台湾留学!

広告屋が台湾のCM事情を考察する

わたしは日本でCM業界で働いています(今は3ヶ月お休み中)

 

ここのところ日本がGWだったこともあり、

グルメや観光についてをいろいろ書かせていただきましたが、

せっかく台湾に住んでいるということで、

今回は台湾のCM事情をまとめてみようと思います。

 

 

 

台湾のテレビ事情

まず台湾の放送事情ですが、

台湾のチャンネルはかつて無料で観れる(つまり民放)3つしかなく、

その後できたケーブルテレビが4つ目のチャンネルということで

「第四台」と呼ばれています。

ケーブルテレビは有料ですがチャンネル数も多いため

普及率も高く、多くの人に見られています。

 

ケーブルテレビ会社は何社かあり(エリアで違ってたりする)

それぞれ観れる放送局が少しずつ違います。

 

 

台湾でよく観るCM

わたしが台湾で毎日観ているのは(中国語の勉強のためですよー)

もっぱらその第四台、つまりケーブルテレビなんですが、

ケーブルテレビを観ていると、日本に関係したCMをものすごく目にします。

 

日本のCMを音声はそのままで字幕をつけて(SKⅡとか)

もしくは映像・テロップはそのままでナレーションだけを変えて(アリエールとか)

オンエアしています。

 

また、日本企業が台湾向けに作ったCMが流れたり、

あきらかに台湾で作った、

なぜか片言の日本語からはじまる不思議なCMがあったり、

 

かと思えば、福原愛ちゃんが中国語でしゃべっていたり。

(去年のCMです。2019年版が見つからず)

www.youtube.com

 

また、台湾の製品ですが、原萃(ペットボトルのお茶)のCMは、

阿部寛さんが出演しています。

彼は日本語で語り、ナレーションやテロップが中国語で入ります。

(これもテレビで流れている2019年版が見つからず)

www.youtube.com

 

上記はほんの一例ですが、

台湾ではとにかく日本が関わるCMが多いと感じました。

 

 

台湾のCM制作事情

ここからはCM制作サイドに関連する話です。

これは広告映像の仕事をしている現地の方に聞いたのですが、

台湾ではCMのメディア費が高いわりには、

ケーブルテレビでのオンエアが確実ではないそうです。

 

というのも、

なんとケーブルテレビ側で、放送局が流しているCMとは別のCMを

勝手に上に被せてくるそうなのです。

そんなことが許されるのに驚きです。

 

そのため、費用対効果をより重視する企業は

TVCMよりもWEB CMに走る傾向があるとのことでした。

その点は今の日本もその流れになりつつありますね。

 

底力(資本)のある企業じゃないとCMはめったにうちません。

台湾に進出している日本企業や、日本に関わりのあるCMが多いのは

そのせいかもしれません。

 

  

また、中国語圏のテレビの特徴として、

どの映像にも必ず字幕が入っています。

オール中国語のCMでも入っているんです。

もちろんドラマにも。

 

これは中国や台湾の言語の特徴によるもので、

大陸では大きく北京語(=標準語・普通話と広東語、

台湾では華語(=北京語・標準語・普通話台湾語が一般的に話されています。

それぞれ表記は同じでも簡体字繁体字の違いはあるにせよ)

発音がまったく違います。

音だけ聞いていると、「方言」の範囲では収まらない、

まったくの別言語レベルで違うんです。

なので、必ず字幕がつきます。

 

このテレビの字幕は中国語を学んでいる身としては、とっても勉強になります。

 

 

最後にカネボウの台湾版CMをご紹介です。

これは日本企業が台湾向けにCMをつくった例です。

が、ただの個人的宣伝です。笑(実はわたし、関わっていました。)

www.youtube.com

 

このように、日本企業の台湾進出は活発で、

そしてわりと成功しているように思います。

日本の製品力がアジアでは評価されている証拠です。

 

 

話は逸れて、台湾から中国(大陸)に移りますが、

ひとつ面白い話を聞きました。

 

とある日本製品が中国で人気が出ました。

それをつくっていた日本企業は、現地で生産・販売すれば

コストや価格を抑えられ、より売り上げアップするだろう!

という考えで、中国国内に工場をつくったそうです。

しかし、中国工場でつくったことを前面に打ち出してしまったために

なんと物はまったく売れなくなり、

けっきょくその企業は中国から撤退してしまった、という話です。

 

彼らは基本的に自国を信頼していません。

日本の品質、安全性、信頼感を求めている消費者に対し、

企業側の都合でモノを考え、間違った解釈をしてしまったんですね。

 

商品戦略の話になりましたが、

広告のマーケティング戦略も同じです。

 

そして、この例は大陸でのマーケティングの話ですが、

たとえ国が違っても、根っこは同じ。

 

広告(とくにCM)は企業発信の、正直とても鬱陶しいモノ。

だからこそ、消費者が何を求めているのかを

消費者の意識の表層はもちろん、

裏側、つまり潜在意識のレベルまで感じ取ることが

重要になってくるのではと思います。

 

実際に文化の中に身を置くことで、

彼らの考え方や、文化によって根付いている

普段は意識していないようなことまで

少しでも理解できるようになれたらいいなと思います。

 

  

 

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